日時:2024年9月28日(土曜日) 午後2時〜4時
会場:Frame in VOX(B会場)
参加者:17名
芸術認知科学者の齋藤亜矢さんは、チンパンジーの描画行動を通して、人間が絵を描くとはどういうことなのか? と問いかけます。この問いは、動物界の中で私たち人類(ホモサピエンス)とその文明にはどんな意味があるのか? という問題に繋がってゆきます。
かつて人間とは万物の霊長であり進化の頂点に立つ存在であることは自明とされていました。今ではこうした「人間中心主義」に対してさまざまな疑問が突きつけられていますが、それでは「人間中心主義」的ではない世界観・文明観とはどんなものでありうるのかという問いに対して、私たちはまだ明確な答えを持っていません。
進化とはより優れた状態に向かって進んでいるわけではなく、他の動物は人間という「目標」に至る途上にあるわけではありません。また進化によって新たな能力が獲得されることは、必ず別な能力を喪失することを意味します。強さは弱さと裏腹なのです。そうした進化の両犠牲という観点から見て、人類とは、文明とは何か?
次回の「話す会」では、この問いをさらに哲学的に展開してゆきたいと思います。(吉岡洋)