日時:2024年1月25日(土曜日) 午後2時〜4時
会場:Frame in VOX(B会場)
参加者:22名
「いかにして私は〈お金〉に目覚めたか」
前回の安藤裕さんとの対談を受け、吉岡の観点からあらためて〈お金〉とそれに関わる問題について考察したいと思います。ご存知のように私は税理士でも経済学者でもなく、自分の研究ではお金について扱ったことはありません。個人の人生でもお金で悩んだ経験はあまりないが、それは家が裕福だったからではなく、なんとかなるだろうという基本的な能天気さを身につけていたからです。ですから、ましてや社会や国家のようなマクロな領域で貨幣や金融がどう動いているか、知ろうともしなかった。そんな問題にはその道の専門家がいるだろうと思いつつ、哲学や美学を学び、芸術やメディアについて考えながら、大学の先生になりました。それが1990年代まで。
しかし21世紀に入って、あれあれなんかおかしいぞ、と感じるようになった。テレビや新聞で政治経済について分析し解説している「専門家」が言っていることって、信じていいんだろうか。決定的なのは、政治問題では9.11とイラク戦争、経済問題ではリーマンショックです。メディアに登場する有名な政治学者や経済学者がしている解説は、問題をちっとも説明していないではないかと思うようになった。それで自分で勉強することにしたのです。専門家になるためでも本を書くためでもなく、たんに自分が知りたいから。
すると驚くべきことに、世間の常識とは全く異なる真実が次々と分かってきた。次に、なぜ真実とは違うことが常識として流通しているかも分かった。さらには、一見お金とは縁遠いと思われている芸術や思想の領域で起こってきた問題も、〈お金〉について勉強すると、それまでとは異なった観点からクリアに理解できると分かりました。そこで次回は、そうした私自身の知的遍歴を告白しながら、皆さんと一緒に〈お金〉について考えてみたいと思います。(吉岡 洋)