日時:2024年5月25日(土曜日) 午後2時〜4時
会場:京都市立芸術大学「講義室12」(A会場)
参加者:42名
日本とは何か? 当たり前のことだが、それは私たちの多くが国籍として所属する一つの国家です。でもそれだけでは、日本について考えたことにならないでしょう。
地理的には日本は東アジアにあり、「極東」と呼ばれたりしますが、それは大西洋を中心に置く世界地図における位置付けです。そのことをどう考えるか。時間的にみると、私たちにとって明治以前の日本はほとんど時代劇の世界ではないでしょうか。そしてその明治すらも、「明治は遠くなりにけり」(中村草田男)と歌われたのがもう94年前(昭和6年)です。
日本は、明治以降は主としてヨーロッパを、1945年以降はアメリカをお手本にして、突っ走ってきました。私たちのどれくらいが、いまだに「戦後」という時代感覚を持っているでしょうか? その一方で、世界はすっかり変わってしまった、20世紀までの常識でもはや何も理解できないとも感じているのではないでしょうか。
〈日本〉というテーマを突きつけられると、いまだに私たちはつい身構えてしまい、自分の「立場」を示せと言われているように感じます。自分の国について考えるのに身構えてしまうとは、考えてみるとおかしなことです。対話の第一回では佐伯啓思さんをお迎えして、〈日本〉について身構えることなく考えうる道筋を、探ってみたいと思います。(吉岡洋)
1949年奈良県生まれ。東京大学経済学部卒業。滋賀大学、京都大学大学院教授などを歴任。現在京都大学名誉教授、京都大学こころの未来研究センター特任教授。
著書に『隠された思考』(サントリー学芸賞)『「アメリカニズム」の終焉』(東畑記念賞)『現代日本のリベラリズム』(読売論壇賞)『倫理としてのナショナリズム』『日本の愛国心』『大転換』『現代文明論講義』『反・幸福論』『経済学の犯罪』『西田幾多郎』『さらば、民主主義』『経済成長主義への訣別』『「脱」戦後のすすめ』など。近著に『「保守」のゆくえ』(中公新書ラクレ)『死と生』(新潮新書)『異論のススメ 正論のススメ』(A&F出版)など。