日時:2024年11月16日(土曜日) 午後2時〜5時(終了時間延長)
会場:Frame in VOX(B会場)
参加者:21名
人文学(ヒューマニティーズ)とは単なる学問分類、つまり理系に対する「文系」ではなく、人間性(ヒューマニティ)を軸として世界を考える(つまり文理は関係ない)という意味です。その軸は「古典」に支えられていますが、古典もまた単に「古い」という意味ではなく、むしろ「新旧は関係ない」ということです。そもそも「進歩」(新しいものほど良い)という概念自体が、ほんの啓蒙思想以後に広がった歴史的産物に過ぎません。科学技術の発達はたしかに目覚ましいものだが、だからといって科学技術的な論理だけで人生も社会も割り切れると考えるのは、野蛮であり蒙昧にほかならなりません(『啓蒙の弁証法』)。
前回の対話では、「半教養(ハルプビルドゥング)」それから「スノッブ」というトピックにも言及しましたが、十分に展開する時間はなかったので、次回の「話す会」ではそれらをより私たちの日常的な経験に即した形で話し合ってみたいと思います。
岡田さんは人文学とは役に立つ「実学」であると言い、私は「知的な体幹の鍛錬」だと言いましたが、それはどういうことか。陶冶としての教養は、この哲学対話が昨年度から継承している、室井さんの「考えること=道に迷うこと」とはどんな関係があるのか、そして教養にとって「雑談」は本質的に重要なものだと私は考えるのですが、それはなぜか。
当たり前のことをテクニカルタームで難しげに語るのは少しも知的ではありません。反対に、高度に抽象的な議論を冗談を交えながら自由に雑談・放談することだけが知的なのだと思います。まあ「教養」も「知」も長年マスメディアで散々使われ手垢にまみれたイヤらしい言葉ではありますが、そんなことは気にせずおしゃべりを楽しみましょう。(吉岡洋)