哲学とアートのための12の対話 2024

土曜の放課後
After School on Saturday

土曜の放課後。かつては会社も学校も土曜は午前だけ、午後はお休みでした。2002年に学校にも週休二日制が導入されたので、もう「土曜の放課後」は存在しません。それでもこの言葉を聞くと私たちは、たんなるノスタルジーを越えた何かを感じるのではないでしょうか?
 放課後とはいってみれば「ポカンと空いた時間」でした。何をするのでもない、何のためでもない時間。けれども今の生徒たちは学校の後も部活や塾などで忙しいことでしょう。現代では大人も子供も、できるだけ無駄な時間を作らないように追い立てられています。休息や遊びですらそのための場所や時間が用意され、何のためでもないような時間はなくなりました。
 2023年度の「哲学とアートのための12の対話」を貫いていたのは「考える=迷子になる」というテーマでした。そうした意味での「考える」ことは、「ポカンと空いた時間」がなければできません。学校(スクール)の語源である「スコレー」とは自由時間、空いた時間という意味でした。つまり学校とはそもそも、人生における「放課後」だったと言えるかもしれません。
 2024年度の連続講座「土曜の放課後」は、文字通り土曜日の午後、何のためでもない時間を共有して、疑い迷いつつ「考える」機会でありたいと思います。そこから何が生まれるか分からない開かれた対話の場、役に立つ教科で埋められた学校ではなく、自由時間としての本来のスクールを実現したいと考えています。
吉岡洋 + 12の対話実行委員会(TWD)

哲学とアートのための12の対話
 「土曜の放課後」

この講座は、2024年4月から2025年2月まで12回にわたり開催されます。以下のスケジュールのように、全5回の「ゲスト対話」は毎回異なったゲストをお呼びし吉岡洋との対談を行います。その狭間に開催される「話す会」では、「ゲスト対話」でのテーマを中心に吉岡洋への質問や参加者間の対話の場を設けます。開催会場はそれぞれ異なりますのでご注意ください。

スケジュール:

2024年4月〜2025年3月 午後2時〜4時(受付開始:午後1時30分)
 ※受付が混雑しますので、開始10分前にはお集まりください。

開催日 内容 会場
第1回(終了)  4月20日(土) プレ講座 A会場
第2回(終了)  5月25日(土) ゲスト対話1
 (佐伯 啓思)
A会場
テーマ:〈日本〉について考えてみる
第3回(終了)  6月15日(土) 話す会1 B会場
テーマ:〈日本〉について雑談するために
第4回(終了)  7月13日(土) ゲスト対話2
 (島薗 進)
A会場
テーマ:<神さま>について考えてみる
第5回(終了)  8月 3日(土) 話す会2 B会場
テーマ:〈神さま〉について雑談するために
第6回(終了)  9月14日(土) ゲスト対話3
 (齋藤亜矢)
A会場
テーマ:<人類>について考えてみる
第7回(終了)  9月28日(土) 話す会3 B会場
テーマ:〈人類〉について雑談するために
第8回(終了) 11月 2日(土) ゲスト対話4
 (岡田暁生)
★臨時会場
テーマ:〈教養〉について考えてみる
第9回(終了) 11月16日(土) 話す会4 B会場
テーマ:〈教養〉について雑談するために
第10回(終了)  1月11日(土) ゲスト対話5
 (安藤裕)
A会場
テーマ:〈お金〉について考えてみる
第11回  1月25日(土) 話す会5 B会場
テーマ:〈お金〉について雑談するために
第12回  2月15日(土) ラスト対話 B会場
会場:

会場A: 京都市立芸術大学 C棟5階「講義室12」(C-523)
※ C棟西側入り口からエレベーターで5Fにお上がりください。

臨時会場: 京都市立芸術大学 C棟1階「講義室1」(C-101)
※ C棟西側入り口からお入りください。
(下の「大学構内案内図」をご参照ください。写真はA会場です)

◎交通アクセス
地下鉄烏丸線・JR各線・近鉄京都線「京都」駅下車 徒歩6分(A棟まで)
京阪電車「七条」駅下車 徒歩6分(I棟まで)
市バス 4、16、17、81、205、南5号系統 「塩小路高倉・京都市立芸術大学前」下車すぐ
※駐車場・駐輪場はございませんので、近隣の有料パーキングをご利用ください。

〒600-8601 京都市下京区下之町57-1  京都市立芸術大学
Tel:075-585-2000

大学構内案内図

会場B:FRAME in VOX
※ MEDIA SHOP前(建物に向かって左側)の階段またはエレベーターにて、3Fまでお上がりください。

◎交通アクセス
バス:「河原町三条」各停留所より徒歩1〜5分
京阪線:「三条駅」6番出口より徒歩5分
地下鉄東西線:「三条京阪駅」2番出口より徒歩5分
阪急線:「京都河原町駅」3B出口より徒歩7分
※駐車場・駐輪場はございませんので、近隣の有料パーキングをご利用ください。

〒604-8031 京都府京都市中京区大黒町44 河原町VOXビル 3F  FRAME in VOX
Tel:075-748-1581

参加費:

講座参加費:1,000円/回
  ※ 前日までに以下の「参加申し込みフォーム」からお申し込みください。
  ※ 参加費は当日、会場受付にて頂戴します。
  ※ 京都市立芸術大学、京都芸術大学の学生は参加費は無料です。
  ※ 「話す会」の講座後半は飲食ができる場となります。飲み物ご希望の方は500円をお支払いください。

記録映像視聴:3,000円/5回
  ※ 5回のゲスト対話の記録映像をネット上で視聴いただけます。
  ※ ご希望の方は下記の「映像視聴希望申し込み」からお願いします。視聴費は講座日でのお支払い、あるいは銀行振込となります。
  ※ 京都市立芸術大学、京都芸術大学の学生は無料です。


第11回(1/25)「話す会5」の申し込みを開始しました。
〈お金〉について雑談する

「いかにして私は〈お金〉に目覚めたか」
 前回の安藤裕さんとの対談を受け、吉岡の観点からあらためて〈お金〉とそれに関わる問題について考察したいと思います。ご存知のように私は税理士でも経済学者でもなく、自分の研究ではお金について扱ったことはありません。個人の人生でもお金で悩んだ経験はあまりないが、それは家が裕福だったからではなく、なんとかなるだろうという基本的な能天気さを身につけていたからです。ですから、ましてや社会や国家のようなマクロな領域で貨幣や金融がどう動いているか、知ろうともしなかった。そんな問題にはその道の専門家がいるだろうと思いつつ、哲学や美学を学び、芸術やメディアについて考えながら、大学の先生になりました。それが1990年代まで。
 しかし21世紀に入って、あれあれなんかおかしいぞ、と感じるようになった。テレビや新聞で政治経済について分析し解説している「専門家」が言っていることって、信じていいんだろうか。決定的なのは、政治問題では9.11とイラク戦争、経済問題ではリーマンショックです。メディアに登場する有名な政治学者や経済学者がしている解説は、問題をちっとも説明していないではないかと思うようになった。それで自分で勉強することにしたのです。専門家になるためでも本を書くためでもなく、たんに自分が知りたいから。
 すると驚くべきことに、世間の常識とは全く異なる真実が次々と分かってきた。次に、なぜ真実とは違うことが常識として流通しているかも分かった。さらには、一見お金とは縁遠いと思われている芸術や思想の領域で起こってきた問題も、〈お金〉について勉強すると、それまでとは異なった観点からクリアに理解できると分かりました。そこで次回は、そうした私自身の知的遍歴を告白しながら、皆さんと一緒に〈お金〉について考えてみたいと思います。(吉岡 洋)

※ 会場は、B会場(Frame in VOX 河原町VOXビル 3F)です。


吉岡 洋(よしおか ひろし)

1956年京都生まれ。甲南大学、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)、京都大学文学研究科教授、京都大学こころの未来研究センター教授を経て、現在京都芸術大学文明哲学研究所教授
主な著書に、『情報と生命』(新曜社、1993年)、『〈思想〉の現在形』(講談社、1997年)他。批評誌『ダイアテキスト(Diatxt.)』(京都芸術センター刊)編集長。『京都ビエンナーレ』(2003)、「岐阜おおがきビエンナーレ」(2006)総合ディレクター。日本学術会議会員。
WEB: ネット上で参照可能なテキストおよび動画へのリンクは、 https://scrapbox.io/tanu-text/ および https://scrapbox.io/tanu-video/ にまとめてある。


講座参加申し込み(第11回 1月25日開催)
申し込みフォームへ

【お問い合わせ】 12の対話・実行委員会(TWD)
mail  Tel:090-3273-0860(安藤)

※定員超過の場合参加をお断りする場合があります。できるだけ前日までにお申し込みください。
※申し込み後に欠席される場合は、実行委員会あてに連絡をお願いします。

記録映像視聴申し込み
申し込みフォームへ

※限定公開チャンネルのアドレスをお知らせします。
※現在、プレ講座および、第2回、第4回、第6回のゲストを迎えた講座の記録映像がアップされています。
※京都市立芸術大学、京都芸術大学の学生は無料です。


※講座へのコメント※
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※各講座へのご質問やご感想はこちらからお願いします。


主催:12の対話実行委員会(TWD)
(植田憲司、吉冨真知子、谷本研、二瓶晃、由良泰人、大西宏志、室井絵里、安藤泰彦、小杉美穂子)

共催:京都芸術大学 文明哲学研究所、京都市立芸術大学 加須屋明子研究室

協力:FRAME in VOX/株式会社デンキトンボ